コースレビュー
晩秋の難コース、14キロずつ3分割して攻略を!
松本マラソン2022のコースは、大きく三つのゾーンに分けられます。「松本城と城下町を感じるエリア」「アップダウンの激しい赤木山エリア」「広大な眺めの信州スカイパークエリア」です。
私は、フルマラソンを走るに当たり「3分割法」を提唱しています。長い42キロのコースを14キロずつ3分割し、各区間の走りをイメージするのです。5キロ、10キロと細かくラップタイムを気にするより、ずっと42キロを短く感じることができます。松本マラソンのコースは、まさにこの「3分割法」の攻略が当てはまると思います。
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松本城と城下町を感じるエリア
序盤はオーバーペース注意。城下町の見どころいっぱい!
スタート直後のやまびこ道路は、道幅も広く、そして緩く長い下り坂が国宝松本城周辺まで続きます。知らず知らずのうちにオーバーペースになりやすいところです。ランナー心理としては「きょうは調子が良い」と感じがちですが、ここはペースを抑え目に走ることがポイントです。
コース序盤では、国宝松本城をぐるりと巡り、天守が間近に見えます。蔵の街並みが続く中町通りも通るなど、お城と城下町の風情を満喫できます。さらに世界的な芸術家の草間彌生作品が見える松本市美術館、重要文化財の旧制松本高校があるあがたの森公園の前を通過。2022大会は、“地元ランナーの聖地”の薄川ランニングコースのルートをリニューアルし、北アルプスと美ヶ原高原の眺めがさらに良くなるなど、コース序盤から松本の街の良さが凝縮されています。じっくり走るランナーには、見どころもいっぱいですね。
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アップダウンの激しい赤木山エリア
赤木山を制する者は松本マラソンを制す
「晩秋の難コース」と大会キャッチフレーズにあるように、ここが最大の難所であり、攻略ポイントと言えます。
15キロ付近から緩やかに上り坂が始まり、18キロ付近からさらに傾斜のきつい上り坂が続きます。ペースがやや鈍化するかと思いますが、あまり気にすることはありません。最も関心を払うべきは、中間点過ぎのコース最高地点「赤木山」からの下り坂です。ここから、つづら折りの急な下りが続くことをあらかじめ意識してください。ここで「タイムを稼ごう」と考えてはいけません。この難所で脚にダメージを与えずにいかに後半へつなげるかがポイントです。歩幅を小さくしながら、かわりに回転数を上げて、体の重心の真下に足を下ろすイメージが大切です。「赤木山を制する者は松本マラソンを制す」と言ってもいいでしょう。
コース中盤は標高が上がり、松本平や北アルプスの眺望が大きく開けるビューポイントでもあります。脚の力を残しながら、じっくり走りましょう。
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広大な眺めの信州スカイパークエリア
がんばらない。そして、あきらめない
信州スカイパーク内のコースは、圧倒される景色です。これほど広大な眺めの公園コースはなかなかありません。高地トレーニングでかつて訪れた米国コロラド州のボルダーやニューメキシコ州のアルバカーキから見えるロッキー山脈を思い出します。北アルプスの雄大な山並みに囲まれて走ると思うと、わくわくしますね。フィニッシュは、信州スカイパークのシンボルでもある、信州産カラマツ材で建てられた「やまびこドーム」に向かってゴールとなります。
マラソンを完走する心構えとして大切なのは「がんばらない。そして、あきらめない」。100パーセントの力を出してはいけません。その手前で自分をコントロールすることが大事です。パーク内は若干の上り下りがありますが、緩やかな上り坂は逆にリズムに乗って走りやすい場所でもあります。逆に上り坂がつらいと感じたら歩いても構いません。決して無理をせず、楽しみながら、最後の踏ん張りを見せるところです。