地下水が豊富な松本は、市街地にも数多くの井戸や湧水があり、
「まつもと城下町湧水群」として「平成の名水百選」に選定されています。
今回は、練習するランナーも多い、女鳥羽川沿いの湧水をご紹介します。
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槻井泉(つきいずみ)神社の湧水
古代以来、湧き出ている槻井泉神社の湧水。この地域一帯を指す「清水」という地名の由来にもなっていると言われています。江戸時代は、この水を使って染色や製紙の産業も盛んでした。
1967(昭和42)年には、「槻井泉神社の湧水と欅(ケヤキ)」として、松本市の特別史跡及び特別天然記念物に指定されました。神社の御神木となっているケヤキは樹齢300年ほど。地域の憩いの場として大切にされています。
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妙勝(みょうしょう)寺の井戸
井戸の周りは藤棚や草木が植えられて、きれいに整備されています。季節によって、さまざまな花も楽しめます。
井戸の奥に見える鐘楼は、1705(宝永2)年建立。ここは以前、念来(ねんらい)寺というお寺でしたが、明治時代、廃仏毀釈で壊されて、建物だけが残りました。大正時代までは、この鐘楼が城下に時を知らせていたそうです。1969(昭和44)年、松本市重要文化財に指定された後、2012年に長野県宝に指定されました。
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女鳥羽(めとば)の泉
現在、市街地に残る唯一の蔵元「善哉(よいかな)酒造」。その敷地内、30メートルの地下から自噴している湧水です。「お茶・コーヒー等御自由に御利用ください」と書かれていて、誰でも気軽に利用することができ、ペットボトルやポリタンクなどを持ってきて水を汲んでいく人の姿も多く見られます。
ちなみに「女鳥羽の泉」という銘柄の日本酒もあります。試飲もできるそうなのですが、それは走った後のお楽しみということにしておきましょう。
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鯛萬(たいまん)の井戸
女鳥羽の泉から1本北側、川からは少し離れますが、地域の人たちが普段から利用している「鯛萬の井戸」があります。
この辺りは「裏町」と呼ばれ、飲食、娯楽の中心として賑わいを見せていました。以前、割烹料亭「鯛萬」があったことから名付けられた井戸。現在は、「鯛萬の井戸公園」としてベンチなども置かれ、ひと休みする人や会話を交わす近所の人々でにぎわう光景も見られます。
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伊織霊水
鈴木伊織の墓所の近くにあるため、「伊織霊水」と呼ばれています。松本藩士・鈴木伊織は、1686(貞享3)年に起こった農民一揆「貞享騒動」で、農民たちの助命・救済に奔走。農民たちに慕われ、亡くなったときには「伊織死亡候につき同家へ悔みに参る事不罷成候」という高札が出されるほどだったと言います。
周辺は、本立寺小路からの水路も整備されており、ひと休みしていく人も多いです。
お土産にできる「信州松本の水」
「信州松本の水」は松本の地下水源のうち、最も多く水道水として使われている「島内第1水源地」の地下水をそのままボトル詰めしたもの。「モンドセレクション2014」のビール・飲料水・ソフトドリンク部門で金賞を受賞しています。1本120円で、市街地では松本城売店、松本市博物館、松本市美術館で購入可能。持ち歩きに、お土産にいかがですか?
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